試作問題と解き方(国語)

問われる「思考力・判断力・表現力」

これが新傾向!
一つのテーマについて、性質の異なる複数の文章(会話文、規約、アンケート、新聞記事、図表など)を組み合わせて、思考・判断させ、記述表現させる問題

センター試験は、試験時間80分、大問数4つ(第1問 評論、第2問 小説、第3問 古文、第4問 漢文)で、一言でいうと、それぞれの文章読解力を問う形式でした。2021年から始まる共通テストには、これまでになかった記述式問題が導入されます。大問数は5問、試験時間も100分になり、200点プラス記述式問題の評価で採点されるようです。では、具体的に共通テストの試作問題を見てみましょう。
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問1で問われているのは?

設問の答えに該当する部分を探し出し、与えられた条件で記述する力。

ここでは、生徒会の規約やアンケート資料をふまえて話し合う、言語活動の場を設定した設問になっています。複数のテキストを場面の中で的確に読み取る力が求められています。
まず、情報の取捨選択です。目的や意図(=問の内容)に応じて題材(テキストの該当箇所)を決めたり、探したりします。次に、情報の整理と文章の構成をします。伝えたいことを明確にしながら、記述の仕方を工夫、推敲して分かりやすい文章にします。

問1はこうやって解こう!

設問中の「当該年度に部を新設するために必要な、申請時の条件と手続き」は文章や資料のどこに書かれているかを考えます。会話文の中にある「部の新設」というキーワードを読み取り、申請や手続きというワードが規則と関連があると考え「生徒会部活動規約」から探します。すると第3章の「部の新設・休部・廃部」の第12条と第13条に書かれていることが分かります。この2つをそのまま文章にしても50字を超えるので、書き方を工夫し形式面のポイントをクリアしましょう。内容面は①「同好会として3年以上活動」と「4月第2週までに申請」の両方が書かれていること②「所定の様式で申請」または「生徒会部活動委員会に申請」のどちらか、もしくは両方が書かれていることが正答の条件です。

解答例:同好会として3年以上活動したうえで、4月第2週までに所定の様式で生徒会部活動委員会に申請すること。(48字)

問2で問われているのは?

設問の意図を理解する読解力と、必要な情報を精査する力

設問の意図を文脈からさぐります。今回の場合は会話文のなかのどの部分を手がかりにするかを考えます。そのうえで必要なテキストや資料がどれなのかを読み取る力が求められています。そうして集めた情報を比較したり、関連付けたりしながら、さらに、表面的には書かれていない内容も推論して補足しながら情報の整理を行う力が求められます。

問2はこうやって解こう!

空欄アに入れるべき要望が、「部活動の終了時間の延長」ではなく「兼部規定の見直し」に関係するものであることを会話文から読み取ります。次に、「条件の緩和」「これまで認められてこなかった」というキーワードを手がかりにして、生徒会部活動規約の第2章「部の運営」の第8条を探し出します。さらに、空欄アにつづく会話にある「体育部・文化部の双方から同じような条件の緩和を求める声」と、規約にある体育部と文化部の兼部が顧問の了解のうえ認められることの2つに着目すると、体育部同士の兼部や文化部同士の兼部が認められていない厳しい条件だと推論します。形式面では文末の表現が「という要望」に適切に続くように書かれていることが大切です。

解答例:体育部同士の兼部も文化部同士の兼部も認めてほしい(24字)

共通テストの記述式問題 どんな対策を立てる?

基本的には、これまでと同様、現代文・古文・漢文ともに、語彙力、文章読解力を高めるための学習をしましょう。論理的文章、文学的文章など、さまざまなジャンルの文章に日常的に触れ、要旨をつかむ練習を積むことが大切です。

また、今回のような実用的文章のほか、言葉の断片、ポスター、掲示物、図表などを読み取り、それぞれの特徴について整理し、共通点・相違点を見つけたり、分かりやすく文章にまとめたりする練習をしておくのも有効かと思われます。「よく読み、よく書き、よく考える」学習習慣を身につけましょう!

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